
ミドリムシ研究を通じて未来の技術を!日本ユニシス
category | ニュース
2019/04/17
2018年8月、ユーグレナ社と日本ユニシスは共同研究をすることを発表しました。
ただ、正直な話ニュースを見ても何のために何の研究をするのかサッパリわからないものだと思います。
そこで今回は「ミドリムシ研究を通じて未来の技術を!日本ユニシス」と題して、ユーグレナ社と日本ユニシスの共同研究がどのような目的でされようとしているか、研究の成果によりどのようなメリットがあるのかについて、主婦の方やスマホもちょっと触ったことがない方にもなんとなくわかっていただけるように紹介しています。
1.ユーグレナ社との共同研究を発表した日本ユニシス社の技術とは
2018年8月にユーグレナ社との共同研究を発表した日本ユニシス。
日本ユニシスとユーグレナ社はどのような目的で共同研究をスタートしたのか、その詳細をできるだけわかりやすく紹介します。
ミドリムシの安定供給のために
ユーグレナ社のミドリムシは沖縄県の石垣島にある専用のプールで培養されています。
ミドリムシは植物の特徴も持っているので日光と水と二酸化炭素があれば光合成をしてエネルギーを生み出します。つまり、動物がご飯を食べるのと一緒で日光、水、二酸化炭素があれば元気になります。元気なミドリムシは、細胞分裂によって数を増やすことができます。
培養する場所に石垣島が選ばれているのは、日照時間が長いほどミドリムシが元気になれるためです。培養に適した環境だからということですね。
しかし、屋外で培養する以上どうしてもコントロールできないのが天候です。雨や曇りの日には日光が当たらないため、ミドリムシの生産量は下がってしまいます。そして、天気を完全に予想することはできないため、どれだけの量のミドリムシを培養するかについて事前に正確な計画を立てることが難しいのが現状です。
そこで、日本ユニシスのAIやIoTといった技術を活用して、ミドリムシの培養のさまざまなデータの収集や分析、さらに正確性の高い生産量の予測などをおこなえるようにするために、ユーグレナ社と日本ユニシスは共同研究をおこなうことになりました。また、これらのデータを活用することで、安定して大量のミドリムシが供給されるようになることを目指しています。
生産量予測、大量安定供給が求められる理由
ミドリムシの健康食品や化粧品を普段購入していると、「ミドリムシは十分に生産できているのでは?」って思いませんか?
確かに、サプリや化粧品は欠品もなくインターネットやドラッグストア、美容院などで購入できます。また、ミドリムシのジュースなどコンビニやスーパーで手軽に購入できる商品もあります。
しかし、ユーグレナ社には「ミドリムシで人と地球を健康にする」という理念・目標があります。
ミドリムシで地球を健康にするため(=地球のエネルギー問題を解決するため)に、ジェット機やロケットの燃料、車のガソリンとしてミドリムシを活用するための開発が進められています。これらの燃料としてミドリムシを活用するには、今以上に大量にミドリムシを生産して安いコストで燃料を作る必要があります。
また、ユーグレナ社には59種類の豊富な栄養素を持つミドリムシで「世界の飢餓を救う」という理念もあります。例えば、ユーグレナ社創業のきっかけにもなったバングラデシュの飢餓問題を解決するために、ユーグレナ社はミドリムシクッキーをバングラデシュの子供たちに配布する事業を行っています。このような取り組みを継続的に世界規模でおこなっていくためにはもっともっと多くのミドリムシが必要になります。
ユーグレナ社の理念や目標を実現するためには、今よりももっと多くのミドリムシが必要であるということですね。
日本ユニシスのAI、IoTとは
ミドリムシの培養量の正確な予想や安定供給のために活用が期待されているのは、日本ユニシスのAI技術「Rinza」とセンシング基板「IOTプラットフォーム技術」です。急に専門的な用語が出てきて面食らってらっしゃるかもしれません。
AIやIoTとはどのような技術を指すのでしょうか?
〈AI〉
AIについて今テレビでも多く取り上げられていますね。ちょっとイメージが先行している部分もあるのでもしかするとAI(人工知能)は、ロボットや機械が勝手に考えて動いてくれるような、ドラえもんや鉄腕アトムのようなイメージを持たれているかもしれませんね。あるいは囲碁や将棋でAIがプロに勝利したというようなニュースを思い浮かべられる方もいらっしゃるかもしれません。
実際に企業で使われているAIは、自分で考えて動くドラえもんのようなロボットよりも、特定の分野に特化した囲碁や将棋のロボットのようなタイプです。今回のミドリムシの場合では、AI技術「Rinza」がプール内の状態や天候、温度、ミドリムシの生育量などのさまざまなデータを集めて分析する役割を担います。つまり、これまでユーグレナ社の研究員がおこなっていた仕事を代わりにAIがおこなうといったイメージです。
機械が分析をすることで、人間が仕事をするよりも速く大量にデータを集め、正確に分析できるというメリットがあります。
〈IoT〉
IoTはAI以上に馴染みのない言葉かもしれませんが、「モノのインターネット」を表す言葉です。簡単にイメージするなら、ルンバを想像すればわかりやすいと思います。ルンバは従来の掃除機とは違い、センサーがついていて、壁や障害物にぶつからないように自走し、ゴミのたくさんたまりやすい位置を学習します。家の外からスマートフォンなどを使って、掃除をするように命令をすることもできます。このようにモノにインターネットをつないで、従来ではできなかった画期的な働きをする機械の技術をIoTといいます。
今回のミドリムシの場合では、ミドリムシの培養プールに特殊な機能(波長の情報を取得するなど)やセンサーなどを搭載したカメラで、プール内の状態をデータ化、数値化できる機器が活用される予定です。例えるならIoTはAIが分析するための細かなデータを集めてくれる、スポーツのスコアラーみたいな役割を果たす機械です。
2.まとめ
2018年8月にスタートしたユーグレナ社と日本ユニシスとの共同研究。
ミドリムシを安定して大量に供給するために、最先端のITの技術が活用されようとしています。そして、その研究を通じてAIやモノのインターネットIoTの技術が確立され、将来の他の藻類や植物の培養や栽培の際のデータ化、数値化に活用される見通しです。
「未来のスーパーフード」といわれるミドリムシが、近い未来の科学技術をも完成させようとしているなんて非常に面白いことですよね。
そして、これらの技術は私たちにとって世界の食糧問題やエネルギー問題を解決できるかもしれないという大きなメリットがあります。さらに、ミドリムシの大量生産が可能となることで、サプリやコスメの値段が安くなる・・・なんてメリットも将来的にはあるかもしれませんね。